一番好きな季節は冬、どうもハルです。
時計じかけのオレンジっていう映画ご存知ですか?SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」やホラー映画のポスターといえばの「シャイニング」などを手掛けたスタンリー・キューブリック監督、1971年公開の作品。ひとことでいうと「人でなしの若者の末路」みたいな話。とにかく、エグい。
タイトルの時計じかけのオレンジというのはロンドン東部の労働者階級が使っていたスラングで「表面上はまともだが、中身はかなり変」という意味の「時計じかけのオレンジのように奇妙な」という言い回しからきているそう。
まず思ったのは、表面上もまともじゃねぇじゃん!ということ。初っ端から何が起きてるのかわからないので目に入ってくる映像の印象が最初にきたんだけど、奇抜すぎて、一周回って、おしゃれ。衣装とか出てくる部屋がカラフルだったりモノトーンだったりで、下北沢とかにありそうなド派手な雑貨屋さんみたいな。
それでも延々みせられるゴミクズ行為になれてくると、マルコム・マクダウェル演じる主人公のアレックスがまあカリスマ性ある感じなのよ。すっげえ変な格好してるけどなんかかっこよく見えてくるの。キュートなお顔してるし。かっこよく見えてくるか吐き気してくるかのどっちかだとは思うけど。そんなアレックスが「クズ、ゴミ、狡猾、ゲス、とにかくボコる」なところから「純真無垢だよーん!!」てなってその後「とにかくボコられる」もんだから「えっおれ何見せられてるの」てなって「お?」てなって「あー!あ、うわぁ、、」てなる。
劇中で雨に唄えばっていうミュージカル映画の歌が使われてるんだけど、明るくて幸せな感じがして、いい歌なのよ。それがそんなイメージとは対極、真逆、かすりもしない現象が起きているなかでアレックスが歌ってるのさ。I’m singing in the rain. ~♪ってルンルンで。まぁカオス。気味わるい。あのシーンだけでもすげぇもん見たなってなった。無理な人はとんでもなく気持ちわるいだろう。グロいわけではないけど、エグい。
われわれ小学校の道徳の時間にビデオとか見せられてさ、思いやりが大事よとか、仏のように穏やかでいろとか、孔子の言うようにで親孝行しなさいとか、右の頬打たれたら左の頬さしだしたらいいよね、とかいう感じの倫理感で育ってるじゃない?
この映画はいわば「逆」心のノートなんよね。人間って本来こういう面も持ってるよねってのを何にも臆することなく開放してまざまざと見せつけてくる作品。優しくありたいと思うがゆえに自分にある残虐性を認められずに苦しんでいるような人にはある種の救いのような爽快感さえ与えてくれる、そんなエグさをもった作品でした。
まあ、見る人は選ぶわな。