どうも。いとです。

スリーピースロックバンドBURNOUT SYNDROMESが6月に約2年半ぶりのオリジナルアルバム『TOKYO』をリリースしたんですけど、皆さん知ってました?

リリースから3ヶ月ほど経ったにもかかわらずあんまり話題になってないもんだから、バーンアウトの新譜が発売されてない世界線にきてしまったのかと不安になってたんですけど、

もしかしてファンの方々、バーンアウトの新譜が最高なのが当たり前すぎて、ちゃんと「最高」って言葉にするの忘れてるんじゃないかと思い当たりまして。

かくいう私も「最高」っていうの忘れてたのでここでちゃんと言います。

BURNOUT SYNDROMESの4th ALBUM『TOKYO』はマジで最高です。

『TOKYO』トレイラ―



BURNOUT SYNDROMES(読み:バーンアウトシンドロームズ)といえば、ボーカル熊谷和海がつくる唯一無二の世界観を武器に、『ハイキュー!!』をはじめとした大人気アニメの主題歌に幾度となく抜擢されてきた青春文學ロックバンド。

今回のアルバムだけをとってみても、アニメタイアップシングルの嵐。

『Good Morning World!』
(テレビアニメ『Dr.STONE』オープニングテーマ)


『PHOENIX』
(テレビアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』オープニングテーマ)


『BLIZZARD』
(テレビアニメ『ましろのおと』1stオープニングテーマ)


『銀世界』
(テレビアニメ『ましろのおと』2ndオープニングテーマ)


『Wake Up H×ERO! feat.炎城烈人(CV:松岡禎丞)』
(テレビアニメ『ド級編隊エグゼロス』オープニングテーマ)



こうしてみるとすごいラインナップ。

アルバム一枚分の制作期間で毛色の異なるタイトルがこれだけ並ぶのはやはり尋常じゃない。

そしてどの楽曲にしてもタイアップ先の作品と絶妙にマッチしているし、曲の細部まで作品への愛とリスペクトが溢れている。
当然、原作ファンからの評価も高い。

かといってタイアップ先に迎合するあまりバーンアウトの個性が死んでしまっているかと言えば、そういうわけでもない。

どの曲も漏れなく「バーンアウトっぽい」が染み出ていて、強烈な個性によるBURNOUT SYNDROMESというクレジットのアピールも欠かさない。

クライアントの顔を立てつつ、自分にしかできない仕事をして、確実に勝ちにくる。できる広告代理店の仕事っぷり。

『TOKYO』はさしずめ一流クリエイターのポートフォリオといったところか。

これからもバーンアウトの元には大型タイアップが土石流のごとく押し寄せてくるに違いない。


では、BURNOUT SYNDROMESというバンドはクライアントを満足させるだけの一流クリエイターなのかというと、実はそういうわけでもない。

やはりどこまでいっても、BURNOUT SYNDROMESはアーティストであり、彼らなりの哲学や矜持をもって、彼らにしかできない“カッコいい”を追求し続けている。

それはアルバムを通して聴けば明らかだ。

バーンアウトは過去のアルバムにおいても、「こんなこと普通はしない」という固定観念に縛られない大胆なアレンジに挑戦し続け、“ダサい”と紙一重の独自の“カッコいい”を確立してきた。


本作『TOKYO』も、かの名作『2001年宇宙の旅』のテーマとして有名な交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』の導入部(デーンデーンデーン…デデーン!ってやつ。伝われ)をモチーフに、コロナ禍によって失われた日常を唄う『2020年渋谷の旅』から始まる。

これこそバーンアウトシンドロームズ流の“カッコいい”だ。

BURNOUT SYNDROMESの音楽を聴き続けて変形してしまった我々バーンアウトオタクの感性をもってすれば、唄い出しの


「はぁぁぁちぃぃぃこぉぉぉぉぉまぁえええええええ」


もカッコよく聴こえて……







こないな。

ええと、うん、これ、別にカッコよくはないな。

「これがカッコええんじゃい」でぶん殴られ続けて調教されたこのちょろ耳をもってしても、これを“カッコいい”と断ずるのは違和感しかない。

もしかして熊谷和海、バーンアウトのファンはとうとう“カッコいい”と“ダサい”を見分ける機能がバグってきてることに気づいて、それを逆手に取ることでどこまでめちゃくちゃなことしてふざけてもバレないか、リスナーを試しにきてるのか…?

あれ、そもそも今までの『檸檬』の「雨、雨、雨」や『若草山スターマイン』の「どん!」も実は試されていた…?


いったい、いつから…?



と、そんなことを考えはじめてしまった時点でバーンアウトの思うツボ。

そもそも、“カッコいい”か“ダサい”かを考えることに意味なんかない。

大事なのは、耳が、脳が、身体がその音楽を欲するか否かであり、仮にどこまでダサかろうと、聴きたくなってしまっている時点で全面降伏してイヤホンを耳にぶっさすしかないのだ。

たとえば、

ロザリオを外して
銃を抱け 修道女(シスター)

ロザリオをはずして

という歌詞が中二病臭くてダサいと思ったとしても、大型タイアップの楽曲に挟まれてもなお存在感を失わないキレのあるサビが耳から離れないのならば『ロザリオをはずして』を聴くしかない。

たとえば、

メイクマネマネ…メイクマネ…
メイクマネマネ…メイクマネ…


という謎の囁きが気になったとしても、ミュージカル映画にそのまま使えてしまいそうな世界観と伸びのある唄声に心奪われてしまったのならば『邪教・拝金教』を聴くしかない。


結局私たちは、熊谷和海のつくる世界がたまらなく好きだし、BURNOUT SYNDROMESの鳴らす音楽から離れることなんてできない。

『逢いたい逢えない』でCHICO with HoneyWorksのCHICOと共に失恋ソングをデュエットでしっとり歌い上げる熊谷和海のギャップに興奮してみたり、

彼の死生観そのものを曲に反映したような『模範囚』の歌詞に心をぐっと鷲掴みにされてみたり、

そうやってBURNOUT SYNDROMESの音楽を吸い込んで生きていくしかないのだ。


まだ彼らの4th ALBUM『TOKYO』を聴いていないあなたの元にもこの唯一無二の世界が届くことを祈って。


では。