荒廃した世界で、君と僕だけでPeople In The Boxを聴いていたい

荒廃した世界で、君と僕だけでPeople In The Boxを聴いていたい

こんにちは、大トロゼウスです。


更新頻度が激落ちしてしまい、ついに編集長から喝を入れられましたので、先日の記事で久々にキーボードを取った次第でございます。最近記事を書かなかった(書けなかった)のは完全にスランプに陥っていたからですが、文章を書けないスランプは文章を書くことでしか克服できないらしい。不条理な世の中です。


どんな導入だよって感じですが、文書くのってダルくないですか。曲がりなりにも3年間ブログを運営していて、仕事でもメールや決裁書など文章を書く機会は平均より確実に多いはずなんだけど、未だにノウハウがわからない。日本語って難しくない?


ましてや、当サイトは好きなものを好き勝手に語るというコンセプト。


世界への不満は零れるほど出てくるのに、好きなものを語るとなると非常に困難。だって好きなものって「なんか好き」がほとんどじゃないですか。例えば皆さんカレーライス好きだと思うんですけど、「カレーには甘さからしょっぱさ、辛さ、うま味全てが詰まっていて、スパイスの種類が豊富で可能性は無限大。作り置きもできるしアレンジの幅も利くから現代の日本人にも広く受け入れられているんだなぁ」とか考えて生活してないでしょ。


何でもそう。好きを言語化するって難しいしめんどくさい。カレーの例だけでもめちゃくちゃ調べたし。


まあそんなこと言ってても始まらないわけで、そろそろ本題に入ります。
今回ご紹介させていただくのは、僕がかれこれ10年以上好きなバンドPeople In The Boxについてです。


拙い日本語を振り回してでも伝えたい、本当に魅力溢れるバンド。

日本語の美しさ

People In The Boxは2003年に結成された、3人組ロックバンド。
ジャンルで言うと…マスロック?ドリームポップ?残響系?って括りでいいんすか?

イントロから何拍子なんだよ。「よし、MV作ろう!」ってまずナチュラルに変拍子の曲を選ぶの怖すぎる。

ピープルの魅力でまず特筆すべきは歌詞だ。
「歌詞が凄いバンド紹介します!」みたいな記事なんかで結構な確率で見かけるイメージがある。

「毎日、たった少し、ふたりは死んでいく

今日はもっと知りたいな 汚れた君のことを

めざめ、眠りを繰り返すだけ

そんなふたりの生態系」

完璧な庭

生きていることを「毎日少し死んでいく」と表現するの、凄くないですか?


ピープルの楽曲はどれも哲学的かつ高次的で、結局のところ何について歌っているのか明確な答えが出せないものが多い。色恋沙汰だったり人生への声援などは一切そこに存在しない。
けれど、人によっては一聴して虜になる”何か良い”が詰まっている。


『怖さ』と『美しさ』は両立するものだと常々考えてて、ピープルの曲はまさにその筆頭だと思う。真夜中の森、洞窟、廃墟、炎、深海、どの絵具の黒よりも黒い宇宙、巨大な仏像、水木しげるの妖怪、ゴヤの絵、成績通知に並ぶ『不可』……そしてピープルの歌詞。

「飛行機は落ちて

いまいましい神様は逃げ出したよ」

月曜日/無菌室

「あの太陽が偽物だって

どうして誰も気付かないんだろう」

ニムロッド

ぞっとするような歌詞を、不釣り合いな小気味良いメロディで、少年のような無垢な声が歌い上げていて、
聴いた時、それこそ荘厳な美術館で絵画を見たような感想を抱かせる。

曲名もどことなくシュルレアリスムっぽいものが多い。

・見えない警察のための
・あなたのなかの忘れた海
・懐胎した犬のブルース
・どこでもないところ
・風景を一瞬で変える方法
・ぼくは正気
・冷血と作法

などなど
人によっては「なんだこれは」と惹き付けられるものばかり(ダリ好きな人とかに刺さりそうだと勝手に思ってる)。

音楽性

一般的に、バンドって人数が減るほど音楽性が尖る傾向にあって、ピープルも歌詞だけではなく楽曲も、クリーンなビジュアルからは想像つかないくらい変態的だ。
たとえばこれ。

音楽の素養がないのでよくわかりませんが、ギターボーカルってコードジャカジャカ弾きながら歌うのがオーソドックスなスタイルだけど、波多野はゴリゴリのアルペジオを弾きながら全く別のメロディーラインを歌うことも多い。右手で知恵の輪解きながら左手でナンプレするようなもん。こんなにカーディガンが似合う人がやるエグさじゃないのよ。ベースとドラムも大概だ。どう合わせてんだよってキメをライブでもばっちり演奏しきっている。


僕の周りのバンド経験者がこぞって「ピープルは凄い」と言っていたけど、まさにこういうところなんだろう。


そして、哲学的な歌詞と変態的な演奏とは裏腹に、ライブでの立ち振る舞いは清楚。穏やかな声で「それでは、聴いてください…」とか言っちゃう。好きになっちゃうんだろこんなん。もっと売れろ。

たぶん、死ぬまで好き

昨今のフェスブームに乗っかりやすい音楽性ではないかもしれない。万人受けする歌詞でもないかもしれない。


でも長く聴かれる音楽って結局、安売りで消費されるような商品性全振りの音楽より、想いと性癖の詰まったこういうものなのかと最近思う。「数年前に聴いてた曲久々に聴いてみるか~」と再生した曲、大抵良いままだよね。僕も死に間際に聴きたいプレイリストにずっとピープル入れてるもん。


いつか世界が滅亡するときには、あまりにも美しすぎるPeople In The Boxを聴きながら眺めていたい。

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