「いじめるヤバイ奴」というバトル・ギャグ・サスペンス・青春ぜんぶ盛り漫画がヤバイ

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「いじめるヤバイ奴」という漫画が、とにかくヤバイ。


講談社が運営するウェブサイト、マガジンポケットにて連載中の本作。

その過激かつ幼稚なタイトルからしても、将来的にこの漫画が広く市民権を獲得することはないのかもしれない。人にオススメしづらいし。

けれど、読み始めたが最後、あなたはもうこの狂気の泥沼に半身を飲み込まれたも同然。
続きをケチ臭く無料で読むために、インスタントな操作性のアプリゲームをやたら下手くそにプレイする動画広告を視聴してやきもきする日々を送ることになる。

大丈夫。いっそコミックス全巻買っても損をすることはないから。

以下、序盤のあらすじを紹介していきたい。
一部ネタバレになってしまうけど、話が進むごとに序盤の衝撃をはるかに上回る展開が待ち受けていて、どんどんおもしろくなるからまったくもって問題ない。


*   *   *   *   *


「このクラスにはいじめがある」


仲島はクラスを牛耳るいじめっ子。

いじめのターゲットである儚げな少女、白咲さんに対して猟奇的ともいえる卑劣ないじめを繰り返す日々。

他の生徒はその矛先が自分に向くことを恐れ、彼のいじめを止めることはない。


そんな状況に疑問を持つ一人の生徒、田中が勇気をふりしぼり仲島に歯向かうも、その狂気を孕んだいじめをやめさせることは叶わない。


しかし、そんないじめっ子、仲島にもいじめをせざるを得ない理由があった。



彼は、「いじめをすること」を強要されていたのだ。



それも、いじめられっ子の白咲さんに。



なぜそんなことをさせられるのかわからないままに、クラスを欺き、非道ないじめっ子を演じ続ける仲島。


ある日、そんな彼のクラスに転校生が現れる。


転校生である加藤は、かつて同級生を自殺にまで追いやった本物のいじめっ子だった…。


*   *   *   *   *


とまあ、それっぽく序盤の展開を紹介してみたものの、こんなものは所詮、舞台装置でしかない。

あらかじめ断っておくと、この話はよくある「いじめ」を題材にした胸くそ悪い展開からその正否や道徳を問うような社会派ストーリーではない。

まったく新しい、バトル漫画であり、ギャグ漫画であり、サスペンス漫画であり、青春漫画だ。

これらの要素をすべて詰め込んだ上で極上のおもしろさを追及するために、作者・中村なんが「いじめ」というギミックを取り入れたに過ぎない。

そしてその舞台装置を最大限に活かすために登場するのは、完全にイカれた「ヤバイ奴ら」。

いじめを強要される「いじめさせられっ子」仲島や「本物のいじめっ子」加藤も十分ヤバイが、それを上回る狂気を覗かせるのが、それを取り巻く名前に色を持つヒロイン(?)たち。


仲島のいじめられっ子、白咲さん。


自称仲島の妻、青山さん。


仲島に救われたいじめられっ子、緑田さん。


彼女たちのぶっ壊れ具合がストーリーを加速させ、予想もできない展開とカタルシスを生み出す。


そして。


・かつての強敵との共闘

・窮地に追い込まれた状況での「覚醒」

・自ら課した重りを外すことによるリミッター解除

・強敵を瞬殺する爽快感

・制限付きの「変身」

・意外なキャラの裏切りによる形勢逆転

・旧ボスと新ボスの高レベルな戦い

                etc.


ネタバレを避けるために具体的な場面の紹介こそできないけれど、この漫画には王道バトル漫画のお約束ともいえる胸熱展開が当然のように盛り込まれている。

特に、文化祭編と生徒会選挙編のバトル展開にはすべての少年漫画オタクが胸を踊らせるに違いない(「いじめ」とこれらの題材を掛け合わせてなぜバトル展開になるのか理解できないという気持ちはわからなくもないが、現にそうなってしまっているのだから仕方ない)。

あと、バトル展開が映えるのにも理由があって、この漫画、作画のメリハリがすごい。

だいたい一話あたり、8割以上のページはそれほど上手いとも感じさせない、わりと力の抜けた作風で描かれているのに、ラスト1、2ページの見せ場の1枚絵や、かっこいい台詞を言うときの表情なんかの魅せ方がどちゃくそに良い。突然別の漫画読まされてる気分になる。いや、そもそもなんの漫画読んでるのかずっとわかってないんだけど。


そして、「白咲さんはなぜ仲島にいじめをさせるのか」という謎が物語の主軸にあり、ミステリ・サスペンス漫画としても楽しめることはもちろん、それだけにはとどまらない。

ギャグ漫画としてみても、異様な状況とキャラクターの真剣さが相まって、「突っ込みどころ満載の展開にあえて特定の突っ込みキャラを置かない」ことで生まれるメタ的なシュールな笑いはまさに秀逸。
(マガジンポケットで読む際には各話ごとの読者コメントも目を通すとより楽しめるかもしれない)


そう、この漫画は、「いじめ」という要素から発展した邪道バトル漫画に、王道バトル漫画の展開をミックスし、ミステリジャンルの読み味やブラックかつシュールな笑い、そして熱い友情まで全てを盛り込んだ衝撃作なのだ。


もうバクマン。で亜城木夢叶先生が目指していたおもしろい漫画の到達点、たぶんこの漫画だし、進撃の巨人が完結し、ハンターハンターの連載が一向に再開されない今、あなたを満足させるのはこの「いじめるヤバイ奴」しかない。


何を言ってるんだこいつ、と首を傾げてるあなたも、そんな暇があったらほんとに早く読んだ方がいい。


それでは。

追記:本日更新の最新話、バトル漫画としてめちゃめちゃ熱い展開すぎませんか。いま一番続きが楽しみな漫画なんですけど。

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