いとです。
2022年1月12日、マカロニえんぴつのMajor 1st Full Album『ハッピーエンドへの期待は』がリリースされることが発表されました。
どう見繕っても最強の新作アルバム情報の解禁に伴い、一足早く同アルバムから、Digital Single『なんでもないよ、』がゲリラリリース。そしてMVのプレミア公開。
もうね、突然そういうことされると驚きと歓びで脳ミソパンクしちゃうのよ。刺激への耐性が年々弱くなってんだから。
現在わかってるだけで新作アルバムに収録される全14曲中、なんと9曲がタイアップ案件。マカロニえんぴつを起用したいプロデューサーやら監督やらが列をなして順番を待っている。
そんなわけで最近は、「誰かのために」「何かのために」新曲をこしらえるばかりのマカロニえんぴつだったけど、
メジャーシーンで勝負するための気合い入れたフルアルバムから先立って引っ提げてきたのは、まさかのノンタイアップ。
つまり純粋にファンのための、そしてマカロニえんぴつ自身のための無垢な一曲だ。
これは耳の穴かっぽじって神棚にスピーカーをセッティングして正座して一礼してから聴くしかない。
拝聴。
もうね、鍵盤の一音目から「この曲を一瞬たりとも聴き逃してはならない」と思わせるだけの“良”の圧を感じる。
得てして名曲とはそういうものなのかもしれないけど。
そして、唄い出しの前にわずかに聞こえるはっとりの咳き込む声。
音源だってのに、このリアルタイム感。
まるでこれから愛の告白をされるかのようなドキドキ感を植えつけてきやがる。はっとりずっるい。
この『なんでもないよ、』は、はっとりから溢れだした想いをどうにか言葉にしようともがくラブソングなわけだけど、
この曲の何が良いって、そのありのままのピュアっピュアな感情を「いかに嘘なく伝えられるか」ってことに挑むその“誠実さ”なんだよなと。
ほんとに『ブルーベリー・ナイツ』や『恋人ごっこ』であの乱れて爛れてどうしようもなくなった関係性のやるせなさを精細に描き出した人間と同一人物とは思えないピュアさと誠実さ。いや、だからこそとも言えるのか?いやいや、そんな誠実な人間は「ねえ、もう一度だけ」を何回もやらないだろうが。
会いたいとかね、
そばに居たいとかね、
守りたいとか
そんなんじゃなくて
ただ僕より先に死なないでほしい
そんなんでもなくて、
ああ、やめときゃよかったな
「何でもないよ」なんでもないよ、
こんな煮え切らないサビで何かを伝えようとするラブソング、今まであっただろうか。
歌詞なんてのはどれだけ赤裸々になろうとも、どうしたって聞こえの良い言葉で表現するしかないものなのに、「そんなんじゃない」「そんなもんじゃない」ってテンプレどおりの愛の言葉たちを否定していくはっとりは、きっと本気で寸分も嘘のない言葉を探している。
それでも見つからなくて、上手く言い表せなくて「ああ」って感情だけ溢れ出しちゃうところとか、
「なんでもないよ、」って諦めちゃうのに全然諦められていないところとか、
今まで「伝える」ことに対して誰よりも真剣に向き合ってきたはっとりにしかできない離れ業みたいな遠回りな表現だからこそ、聴く人も言葉じゃない何かを勝手に受け取ってしまうんだろう。
ツーコーラス目でラップ調が少し強くなる感じも、
いっそう「そんなんじゃない」言葉たちが溢れ出しちゃうサビも、
等身大のはっとりの想いを即興で垂れ流すような空気感まで湧き出てきて、これもう結婚式の新定番ソングになってほしさまである。好きすぎる。
あとMV。柄本さんの不格好に、全力疾走する演技が良すぎてぶっ刺さる。短編映画としても楽しめるぐっと来る映像作品にもなっているから、ぜひ観てほしい。
そしてMV最後の「あのさ、俺、」の続きも、
「なんでもないよ、」の続きも、
聴く人それぞれが想像できるだけの余白と余韻が曲と映像にふんだんに盛り込まれていて、しばらく放心状態に陥った後にまた飽きもせず再生を繰り返してしまう。
とにもかくにも、
君といるときの僕が好きだ
ラストのこの歌詞聞いたらずっと我慢してた「なんでもない、わけねーだろ!!」が爆発してしまってもう無理。
なにこの曲、好きすぎるんだけど。
皆さんも「なんでもないよ、」ぜひ鬼のようにリピートしてみては。
そしてアルバムを楽しみに待ちましょう。
それでは。
【マカロニえんぴつの他の記事】