the quiet roomが高らかに鳴らす。泣いちゃうくらい愛しい音楽を。「You e.p.」レビュー

the quiet roomが高らかに鳴らす。泣いちゃうくらい愛しい音楽を。「You e.p.」レビュー

2010年に茨城県で結成されたロックバンドthe quiet roomが、1月27日に自身初のe.p.となる「You e.p.」をリリースした。

「表情豊かに生きる」

そんなテーマをかかげる彼らにふさわしい、繊細な感情を色彩豊かに映し出した一枚。

これまで喜怒哀楽はもちろんのこと、喜怒哀楽にカテゴライズしきれない細やかな感情の揺れ動きまで鮮やかに表現してきたクワルー。その顔である菊池遼のソングライティングは今作でもとびきり光っている。

まず、リードトラックの「You」

イントロから心をわしづかみ。the quiet roomはこの握力が強い。絶対に離してくれない。

さあ、ここからどう展開していくんだ。

わくわくして目が冴えてくる。

「Vertigo」や「Polaroid」のように、ライブで時折かましてフロアを馬鹿みたいに沸かせるかっこ良さにステータス全振りの曲か。
はたまた「東京」のような素敵メロディで悩殺するパターンか。

その答えはAメロでもうわかる。

完全に後者。

素敵メロディで悩殺の黄金パターン。

国内屈指の最高級Bメロ大量製造機ことthe quiet roomがその真髄を見せつけた後、切なくも爽やかな拓けたサビが来ちゃうぞ~~~!と身構えてたらほんとに全部そのとおり来るから困る。

しかもふわりと背中を押してくれる応援ソングだなんて。

考えなくていいよ
君は風を追って 風を追って
知らない街まで走っていくのさ
泣いちゃうくらい愛しい日々は
ひとつだって消えやしないよ

向かい風に立ち向かうでも、追い風が吹くでもなくて、ただ「風を追って」っていうのがシンプルで良い。
ほんとに考えなくていいんだっていうのが伝わってくる。

そして新しいどこかへと向かうとき、当然のごとく大切な何かと離れなくちゃいけないこともある。

「挑戦」の過酷さをわかっているからこそ、少し鼻にかかった唄声で菊池遼は教えてくれる。

「泣いちゃうくらい愛しい日々」は消えたりしないことを。

この上手な背中の押し方がまさにthe quiet room。

むしろthe quiet roomこそが「泣いちゃうくらい愛しい日々」みたいなところある。

そして本作「You e.p.」は、まさに泣いちゃうくらい愛しい名曲が詰まっている名盤だ。

ポップな曲調でちょっとしんどい恋を描く「平成ナイトオウル」

めまぐるしく移り変わる展開と洒落たアウトロが印象的で、どこかアンニュイな「Roll」

そして胸が締め付けられるバラード「恋を終わらせよう」

特に「恋を終わらせよう」は、抱きしめたくなるくらい良い曲だ。

君に一番に聴かせたいよ
自信があるんだ このメロディ
どうしても眠れぬ夜に
隣にいて欲しい

こんなハードルの上がるサビの歌詞はない。

自信があるんだこのメロディって。
しかも失恋ソング史上もっとも登場回数の多い夜であろう「眠れぬ夜」。

これ、メロディ次第じゃただの凡庸な曲になり果ててしまう可能性だってある。

でも彼らはちゃんとハードルを超えてくる。だからこの曲は名曲足りうる。

どれだけ彩り豊かな音を鳴らそうとも、the quiet roomはシンプルなギターロックだ。

メロディで勝負することからは決して逃げない。そこが最高にかっこいい。

「You e.p.」
ぜひ聴いてみてほしい。

初回限定盤にはボーナストラックとして4曲のライブ音源やバンド初となるライブDVDも付属。

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